ピピナナ&真木野聖コラボレーション企画 第6弾

『Twitter DE コラボ Part3』
  〜ピピナナ&真木野聖 作〜

◆◆<1>ピピナナ◆◆
俺はいつもの「スナックジュン」に来ていた。
と言っても誰もおらず俺一人だ。
店番をしてくれと頼まれたんだが…。
客が来ても知らねえぞと言ったが、とうとう押し切られてしまった。
そこへドアの開く音がした。
ほら、おいでなすった。
俺は断ろうとしたが、ドアにはある人物が立っていた。
★2017.07.15★

◆◆<2>真木野聖◆◆
これはレッドインパルスの隊長じゃねぇのか?
白いスーツを着ているからハッキリとは解らねぇが。
どうしてこんな所に現れたのだろう。
俺が訝しがっていると男はコーヒーを淹れてくれと言った。
俺は彼の目的に興味を持ったのでコーヒーを淹れる事にした。
コーヒー位なら俺でも出す事が出来た。
★2017.07.15★

◆◆<3>ピピナナ◆◆
隊長とおぼしき男は俺が淹れたコーヒーを旨そうに飲んだ。
俺は男が口を開くのを黙って待った。
そして男はコーヒーを飲み干すとおもむろに口を開いた。
ここに来ればレーサーに会えると聞いたんだがね。
それは俺の事か?
なぜ飛行機乗りじゃなくてレーサーなんだ。
俺は不思議に思った。
★2017.07.15★

◆◆<4>真木野聖◆◆
疑念が沸いて来たが俺は自分がレーサーだとは名乗らずに訊いた。
どうして一流の飛行機乗りがレーサーに逢いたいんだ?
管轄外だろう?と言った。
男は懐から小さな端末を取り出して俺に動画を観せた。
あるレーサーを探しているらしい事が解った。
走り方の癖で俺にはそれが誰だか明確に解った。
★2017.07.15★

◆◆<5>ピピナナ◆◆
どうやら君はこのレーサーが誰だか知っているようだね。
男は何もかも見透かしたように俺の顔をまっすぐに見た。
俺も視線を外さなかった。
暫く睨み合いが続いた。
その緊張を先に破ったのは男の方だった。
結構。
このレーサーは君だね。
その気の強さが必要なのだ。
男はニヤリと笑った。
★2017.07.15★

◆◆<6>真木野聖◆◆
俺が必要だとはどう言う訳だ?
隠密行動か。
そんな事には慣れているが南部博士の許可は?
此処に来たのは南部君から聞いたからだ、と男はまた印象の強いサングラスの向こうで笑った。
隠していても表情は何となく解る。
以前健が他人のような気がしない、と言っていたがこの男は一体何者なのだ?
★2017.07.16★

◆◆<7>ピピナナ◆◆
この男が誰なのかは、まあいいとしよう。
大事なのはこれから俺が何をするかだ。
南部博士が知っているという事は司令も同じだ。
あるレースに出てくれないかと男は言った。
レース?
そんな事、他愛もねえ事だ。
俺を誰だと思っていやがる。
だが、一体何のレースか俺は気になった。
★2017.07.16★

◆◆<8>真木野聖◆◆
わしはパイロットなので車の運転も出来る事は出来るが君のようには行かない。
レッドインパルスの隊長は言った。
ギャラクターは科学忍者隊の1人がレーサーだと言う事を知っている。
このレースで君を見つけ出し殺すのが奴らの目的だ。
だからこそ君には出て欲しいのだ。
成程俺は囮って訳だな?
★2017.07.16★

◆◆<9>ピピナナ◆◆
おもしれえじゃねえか。
俺の闘争心がムクムクと頭をもたげてきた。
レースに出て、見事に優勝を勝ち取ってやろうじゃねえか。
いや、君は優勝しなくていい。
レッドインパルスの隊長は事も無げに言った。
どういう事だ? 優勝しなけりゃレースに出る意味がねえ。
隊長は意味ありげに笑った。
★2017.07.16★

◆◆<10>真木野聖◆◆
そのレースにはカッツェも出るだと?
何の為に!?
俺は徹底的にカッツェを追え、と言う事らしい。
偵察した処ギャラクターの罠が多く仕掛けられている、と隊長は言った。
カッツェは自分を追って来た者が科学忍者隊の隊員だと判断する筈だ。
わしの部下もレースに出場させ混乱させるのだと言う。
★2017.07.16★

◆◆<11>ピピナナ◆◆
それにしても、カッツェがじきじきにお出ましとはな。
思う存分追い回してやるぜ!
罠があっても何の事はねえ。
そんなもん、上手くやり過ごす自信がある。
俺は腕が鳴るのを感じた。
そんな俺の様子を見ていた隊長は、それでこそわしが見込んだレーサーだと満足そうな顔をした。
★2017.07.16★

◆◆<12>真木野聖◆◆
レースは明日の午前9時スタートで通い慣れたサーキットだった。
だがコースを10周回った後は外の未知のコースを走るようになっている。
何時の間に改造したのだろうか。
これもギャラクターの計算かもしれねぇ。
そう呟いたら隊長も頷いた。
その通りだ。
決して油断はするなと隊長は言った。
★2017.07.16★

◆◆<13>ピピナナ◆◆
レース当日は雨だった。
未明から降りだしたらしい。
俺は嫌な予感がした。
路面が濡れていたら、ドライビングテクニックが半減してしまうからだ。
どんな罠があっても上手く乗り切る自信はあったが、俺の嫌な予感は当たる。
暗雲立ちこめる空がこの先のレースを物語っているようだった。
★2017.07.17★

◆◆<14>真木野聖◆◆
G−2号は悪路走行性に優れている。
こんな雨など難なく躱せる筈だ。
カウントダウンが始まった。
カッツェは何処だ?
見回してみたが見つからねぇ。
だが、スタートラインの横に入って来た車に女隊長が乗っているのが見えた。
取り敢えず此奴を追おう。
俺はアクセルを思いっ切り踏み込んだ。
★2017.07.17★

◆◆<15>ピピナナ◆◆
まずはサーキットのコースを10周。
女隊長の車は先頭を走って行く。
俺は女隊長の車にぴったりとついた。
最初の数周は何事もなく過ぎた。
何だかまどろっこしいぜ。
早く罠でも何でも仕掛けて来やがれ!
俺は勝負に出る事にした。
アクセルを踏み込むと、女隊長の車の前に出た。
★2017.07.17★

◆◆<16>真木野聖◆◆
すると女隊長の両脇を固めていた2台のレーシングカーが俺の両脇に出て来た。
俺を忍者隊だと疑って掛かっていやがるな。
左右を見渡すと何とその2台にはレッドインパルスが乗っていた。
隊長がわしの部下も走らせると言っていたのは本当だった。
女隊長はガスを噴霧し、辺りには薄霧が広がった。
★2017.07.18★

◆◆<17>ピピナナ◆◆
薄曇のせいで前が見え辛い。
レッドインパルスの隊員を乗せた車は、みるみる速度を落としていく。
俺は逆に速度を上げた。
薄曇を振り切るつもりだ。
女隊長の車もぴったりとついて来る。
そして横につけると、車輪からドリルを出してきた。
これで俺の愛車に体当たりしてくるつもりか。
★2017.07.19★

◆◆<18>真木野聖◆◆
俺はステアリングを切ってそのドリルを辛くも避けた。
コース内の10周を終えこれから外の未知の世界へとトップで出て行く。
地図は出発直前にドライバーに渡され俺はそれを頭に叩き込んである。
此処から先はどんな罠が待っているか解らねぇ。
山道に入るといきなり横並びした戦車が眼に入った。
★2017.07.20★

◆◆<19>ピピナナ◆◆
あの戦車で俺を愛車ごと押し潰す気か。
それとも火砲で撃破するつもりか。
へっ。
かかって来やがれ。
俺は逆にアクセルを思いっ切り踏み込んで戦車に立ち向かった。
そしてぶつかる寸前に戦車を飛び越えた。
だが、何て事だ。
戦車の向う側には落とし穴があった。
まるで蟻地獄のようだ。
★2017.07.22★

◆◆<20>真木野聖◆◆
俺は戦車の上をワンバウンドして蟻地獄を飛び越えた。
実際には完璧に行かず少し手間取ったが、何とか通路に上がり切る事が出来たぜ。
これが俺の実力だ!
レッドインパルスの隊長が話していた罠はこれからも続く。
俺は負けずに突破してやる。
だが、俺の任務はカッツェを追う事ではなかったか?
★2017.07.23★

◆◆<21>ピピナナ◆◆
女隊長の車は先を走って行く。
俺を罠にかけてでも、トップである必要があるらしい。
どうしても優勝しなければならない理由は何なのか。
まさか賞金を狙ってる訳ではあるまい。
いや、このレースは優勝者には賞金ではなく賞品が与えられるとか言ってたな。
一体賞品は何なのか?
★2017.07.25★

◆◆<22>真木野聖◆◆
油田のオーナーになれるって話だったな。
俺には全く興味がねぇ事だがスポンサーも随分と賞品を張り込んだものだ。
ギャラクターにそんなエネルギー源を手に入れさせる訳には行かねぇな。
隊長は優勝しなくても良いと言ったがそれは出来ねぇ相談だ。
賞品をギャラクターの物にはしては行けねぇぜ。
★2017.07.26★

◆◆<23>ピピナナ◆◆
俺は先を急いだ。
幾多の罠が待ち受けていたが、俺はそれを辛うじて乗り越えた。
先を走っている女隊長の車が見えてきた。
そろそろレースも終盤に差し掛かってきた。
俺は一気に車間距離を縮めた。
何としても女隊長の優勝は避けなければならない。
だが、最後の罠が俺に降りかかってきた。
★2017.07.27★

◆◆<24>真木野聖◆◆
象の大型メカの襲撃だ。
左右から襲って来やがった。
俺は急ブレーキを掛けて2頭をぶつからせ自滅させた。
その間に女隊長の車が遠ざかって行く。
俺はバラバラになった破片の直撃を避け、スピードを上げた。
目の前に女隊長の車が迫った。
俺はステアリングを切って一気に追い越しに掛かった。
★2017.07.27★

◆◆<25>ピピナナ◆◆
俺と女隊長はほとんど同時にゴールした。
判定は?
競馬で言うところの、ほんの鼻先の差で俺が優勝した。
これで油田のオーナーの権利はギャラクターに渡さずに済んだ。
だが、それで黙っているギャラクターではない。
女隊長は奥の手に出てきた。
なんと、俺を銃で脅しにかかってきたのだ。
★2017.07.27★

◆◆<26>真木野聖◆◆
俺は高々とジャンプし石油王の譲渡権の盾を惜しげも無く空(くう)に投じた。
そこに隊長が投げた手榴弾が見事炸裂した。
俺はそのまま回転して着地、女隊長の銃を脚で蹴り上げた。
女隊長が身を翻すとカッツェの高笑いが聴こえた。
紫の君の登場だ。
よくも権利書を燃えカスにしてくれたなと奴は言った。
★2017.07.27★

◆◆<27>ピピナナ◆◆
まあいい。
こうなったら権利書が無くても油田を我らギャラクターのものにしてやる!
紫の君は宣った。
一体どうする気だ?
すると、ムクムクと大きな陰が俺達を覆った。
出たな、メカ鉄獣!
力ずくで油田を奪い取るつもりらしい。
そうはさせるか!
俺はマシンへと乗り込んだ。
★2017.07.27★

◆◆<28>真木野聖◆◆
俺とG−2号は虹色に包まれて変身した。
その間に事務所の職員達が観客を退避させているのを俺は確認していた。
カッツェも既に鉄獣に乗り込んでいた。
俺はコンドルマシン!と叫びメカの前部を開放した。
ガトリング砲で存分に弾丸を浴びせてやった。
奴らは見る影もなく木っ端微塵に爆発した。
★2017.07.27★

◆◆<29>ピピナナ◆◆
カッツェはいつものように逃げて行ってしまった。
ちぇっ。
今回は見逃してやるぜ。
それより油田が無事に守られた事に俺は安堵した。
メカ鉄獣の爆発に誘発される事もなかった。
油田のオーナー権は誰かに譲る事にしよう。
どこか平和利用してくれる団体にでも。
俺はその場を後にした。
★2017.07.27★







★今回のコラボの感想★
  (コラボ期間:2017.07.15〜07.27)

<ピピナナ>

最後まで読んで下さってありがとうございました。m(__)m
part3も何とか終わらせる事が出来ました。
今回は難しかったです。
やっぱり今回も上手く書けずに、真木野さんに頼ってしまったのが反省点です。
次回こそは頑張りたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
まだまだ続きますよ〜!


<真木野聖>

今回もピピナナさんに引っ張って戴きました。
作品の前後の文章の繋がりや、若干の矛盾がある点は私としては非常に気になる処なのですが、そんな事は全く気にされないでどんどんストーリーを練り上げて構築して行かれるピピナナさんには、私ではとても太刀打ち出来ないな〜、と改めて感心致しました。
Part4は私が書き始めて纏める事になりますので頗る不安ですが、また頑張りたいと思います。
此処までお付き合い戴いた読者の皆様、本当に有難うございました。
そしてストーリーの牽引役になって下さっているピピナナさんにも改めて謝辞を申し上げたいです。m(_ _)m









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