ピピナナ&真木野聖コラボレーション企画 第7弾

『Twitter DE コラボ Part4』
  〜ピピナナ&真木野聖 作〜

◆◆<1>真木野聖◆◆
小鳥の鳴き声で気分良く目覚めた。
トレーラーハウスを開けると、外には雨上がりの輝かしい緑が光っていた。
俺は思わず深呼吸した。
新鮮な空気が喉を通って全身に回って行く感じが好きだった。
だからトレーラーは森の中に停めておく事が多い。
小鳥達が何やら会話を交わし果実を突ついている。
★2017.07.28★

◆◆<2>ピピナナ◆◆
俺はコーヒーを淹れる事にした。
芳醇な香りが辺りに立ち込める。
黒褐色の液体を飲むと、身体がシャキッとした。
さて、何かお腹に入れておくか。
トーストにベーコンエッグ、簡単なサラダ。
おっと、昨日市場で仕入れたオレンジも忘れちゃいけねえ。
パンくずは小鳥達にあげるとしよう。
★2017.07.28★

◆◆<3>真木野聖◆◆
オレンジは1つはそのまま、もう1つは絞って新鮮なジュースにする事にした。
その最中にパンがトースターから弾けるように踊り出た。
こんなにのんびりした時間も悪くねぇ。
毎日が切迫した日々を送っているからな。
いつ呼び出されたっておかしくねぇんだ。
贅沢な気分を味わうのも乙な物だな。
★2017.07.29★

◆◆<4>ピピナナ◆◆
腹ごしらえを終えた俺は考えた。
さて、これからどうするか。
迷う時間も贅沢だ。
だが、それを破るように遠くからエンジン音が鳴り響いてきた。
こんな静かな朝に何て事だ。
俺はイラついた。
エンジン音は段々と近付いてくる。
そしてトレーラーハウスの前で止まった。
一体誰だ?
★2017.07.30★

◆◆<5>真木野聖◆◆
エンジン音は車じゃねぇ。
バイクだろう。
だとすれば来たのは健かジュンか、って処だな。
こんなに早くに一体何の用事があるってんだ。
ノックの音がした。
俺は羽根手裏剣を口に咥えて一気にドアを開けた。
「おいおい、朝から物騒だな」
やっぱりだ。
予想通り、現われたのは健の奴だった。
★2017.07.30★

◆◆<6>ピピナナ◆◆
一体何の用だ、こんな朝早くに?
俺は訊いた。
昨夜は雨の音で眠れなくてね。
健が言った。
だから何だって言うんだ?
眠いんだ、寝かせてくれ。
奴はベッドに倒れ込んだ。
は? どういう事だ。
何でここ?
何で俺のベッド?
俺は健が身体に巻き付けている毛布をひっぱがした。
★2017.07.30★

◆◆<7>真木野聖◆◆
何をするんだ?!と健。
居心地が良いのは解るが迷惑だから帰りやがれ!と俺はこいつを突っぱねた。
確かにあいつの飛行場とは違って、森の中はとても穏やかで癒される空間だ。
だからと言って、俺がこいつに寝場所を提供する謂れはねぇ!
小鳥達が俺が撒いたパン屑に群がって来て賑やかになった。
★2017.07.30★

◆◆<8>ピピナナ◆◆
その様子を見ていた健は、じゃあ朝飯でいいやと宣った。
腹が空いてるんだと捨てられた子猫のような目で俺を見る。
じゃあとは何だ、じゃあとは。
俺はおめえのお抱え料理人じゃねえ。
だが、あんな目で見られると断れねえ。
仕方無く俺は冷蔵庫の中を漁った。
健は嬉しそうにテーブルについた。
★2017.08.01★

◆◆<9>真木野聖◆◆
俺はパスタを茹でた。
遠方に出掛けた折に纏め買いして来る極上のソースを使った。
但し見掛けでは解らねぇようにタバスコをズバズバと掛けた上で健に出した。
旨そうに喰いやがる。
俺にはその事が意外でもあり計算外の事だった。
俺の所でタダ飯などねだるからだ、と言ってやりたかったのによ。
★2017.08.01★

◆◆<10>ピピナナ◆◆
旨かった、ご馳走さん。
パスタを全部平らげると、健は満足そうに言った。
何だ、こいつ。
味音痴か?
不思議に思っている俺を見て健は笑った。
何だお前、俺が辛いものが得意なのを知らなかったのか?
ちっ。
長い付き合いなのに失念していたぜ。
じゃあ一体何が苦手なんだ?
★2017.08.01★

◆◆<11>真木野聖◆◆
俺が思うにはツケの請求をされる事だな。
任務中に口笛で誤魔化していやがった。
おい、コーヒーでも飲みに行かねぇか?
眠気も覚めるだろうぜ、と俺は食器を片付け乍ら言った。
いや、此処で飲む。
この野郎何処まで俺に甘えやがる!
流石に堪忍袋の緒が切れて、俺は殴り掛かろうと拳を握った。
★2017.08.01★

◆◆<12>ピピナナ◆◆
おいおい、暴力はごめんだぜ。
健は俺の殺気を感じたのか、先回りして言った。
この野郎〜。
俺は握りしめた拳をほどいた。
一体、健はどうしちまったんだ?
今日の健はおかしい。
いい歳した大の男が何を甘えてやがる。
おい、今日が何の日か忘れたのか?
健が俺に訊いた。
えっ?
★2017.08.01★

◆◆<13>真木野聖◆◆
こいつの誕生日じゃねぇ事は解っている。
一体何だと言うんだ?
どう考えても誰の誕生日でもねぇ。
すると健が言った。
今日は初めてカッツェが攻撃を仕掛けて来た日だぜ。
俺達は1年掛けてまだ奴らを倒せてないんだ。
雨の音で眠れなかったんじゃねぇのかよ?
そんな事考えてやがったのか。
★2017.08.01★

◆◆<14>ピピナナ◆◆
俺はちょっとだけしんみりしてしまった。
親父さんを亡くした今でもまだギャラクターを倒せてない事にイラついているんだな。
しかし、それでは健が俺に甘えて来る理由にはならねえ。
気が弱くなってるのか?
俺は何とか健を励まそうと考えた。
こんな時は走るのが一番だ。
俺は健を誘った。
★2017.08.01★

◆◆<15>真木野聖◆◆
俺は黙って親指をグイっとG−2号の助手席に向けた。
乗れって言うのか?と問う健に頷いて見せた。
荒っぽく運転席に乗り込むと俺はアクセルを踏み入れた。
勢い良く飛び出して行く。
健はこんな事に怯える男ではねぇが少し驚いた様子だった。
俺はサーキットまで奴を連れて行くつもりだった。
★2017.08.01★

◆◆<16>ピピナナ◆◆
しかし、着いたところは海だった。
どうせ走るなら海までのドライブはどうだと健が言ったからだ。
俺達はドライブを楽しみながらゆっくりと走った。
着いた頃はもう夕暮れだった。
丁度夕陽が海に沈む頃で、その美しさに俺達は見とれた。
男二人で見る夕陽も悪くないな、と健が言った。
★2017.09.10★

◆◆<17>真木野聖◆◆
さざめく海にはカモメの鳴き声も聴こえた。
空には刷毛で様々なオレンジ色を塗り込めたような美しいパノラマが広がっている。
俺はこう言う風景を観るのが好きだった。
いつもの森の中もありだが、海辺で観るのもいいものだな〜と思わず呟いた。
健は飛行機の中から観る夕陽も絶品だぜ、と言った。
★2017.09.11★

◆◆<18>ピピナナ◆◆
空には境界線が無いのさ。
空と海が融け合って、どこが境か分からない。
俺は少しずつ欠けていく夕陽に向かって飛んで行く。
だが、終わりが無い。
そこで健は黙り込んだ。
果ての無い闘いに思いを馳せているのか、親父さんの事を考えているのか…。
俺は胸が締め付けられる思いだった。
★2017.09.12★

◆◆<19>真木野聖◆◆
俺もな、とつい言葉が出た。
ガキの頃、夕陽が沈んで行くと共に自分の方に向かって出来て来る夕陽色の道にどれだけ魅せられた事か。
あの道を走り抜ければ故郷に続いていると…。
そこには親父やお袋もきっといる、と何の根拠もない事を祈るかのように信じていた。
だがそれはただの夢物語だった。
★2017.09.12★

◆◆<20>ピピナナ◆◆
健は思わずそう呟いた俺の顔をまじまじと見つめていた。
そしていきなりふっと笑った。
ガラにもなくセンチメンタルになっちまったな。
後悔したように健は言った。
そうだな。 俺も笑い返した。
それぞれ抱えているものがあるが、今は闘うだけだ。
俺達は再び夕陽に見入った。
★2017.09.12★

◆◆<21>真木野聖◆◆
何故俺の処に来た?
似た者同士だと思ったからか?
傷口を舐め合うのはごめんだぜ。
夕陽色に染まっている健に言った。
カッツェに親を殺されたと言う意味では同じだな。
俺の恨みは10年前に遡るぜ。
その分降り積もった恨みはでけぇつもりだ。
絶対にこの手でカッツェをと俺は夕陽に誓った。
★2017.09.13★

◆◆<22>ピピナナ◆◆
お前は相変わらずストレートな奴だな、と健は笑った。
そして続けた。
お前の積もり積もった恨みはわかるつもりだ。
だが同時にそれが危険だとも感じる。
お前が正気と狂気の境にいるようでな。
憎しみが真っ直ぐ過ぎるんだ。
健は俺の目をじっと見つめた。
俺は思わず目を逸らした。
★2017.09.15★

◆◆<23>真木野聖◆◆
余計なお世話だぜ!
俺はそう吐き捨てた。
同情して連れ出したんだが、本当は俺を連れ出す事が目的だったんだな。
畜生!まんまと騙されたぜ。
俺は確かに狂気の真っ只中にいる。
おめぇに指摘されなくても痛い程知り尽くしているぜ。
これが俺の生き様なんだ。
そうしねぇと生きて行けねぇのさ。
★2017.09.16★

◆◆<24>ピピナナ◆◆
すまねぇな。
俺は悲し気な顔をしている健に言った。
確かに、恨みや憎しみだけで闘うのは虚しい事だとわかっている。
だが、俺はそんなものばかり食べて生きて来たんだ。
開き直る訳じゃねぇが、そうしなければ心の均衡を保てなかった…。
健はそれを理解しているように俺に向かって頷いた。
★2017.09.17★

◆◆<25>真木野聖◆◆
再び真っ直ぐな視線から眼を逸らした。
見上げると朱色に染まっていた空が徐々にコバルトブルーに移り行く様が何とも美しかった。
星々が輝いている。
こいつは俺の事を理解はしているのだな。
流石はリーダーだ。
健よ。俺は振り返って言った。
奴らを倒したら俺もきちんと将来の事を考えるぜ。
★2017.09.17★

◆◆<26>ピピナナ◆◆
だが、それでは健は納得しなかった。
お前、きちんと泣いてないだろう?
いきなり健は言った。
確かに俺は憎しみの方が強くて悲しみとは向き合っていなかった。
健は泣く事によって悲しみを昇華させていた。
そこが俺と健の違うところだ。
同じ立場でもステージが違うと俺は思った。
★2017.09.18★

◆◆<27>真木野聖◆◆
俺は哀しみを心の奥底に無理矢理押し込めて、あれからの10年を生きて来た。
そうしなければ8歳の俺には、自分自身が崩れ落ちちまいそうだった。
10年経った今でも俺は変わっていねぇ。
哀しみを憎しみに変換しなければ心の均衡が保てなかった。
何度も言わせるな。
これが俺の生き方なのさ。
★2017.09.18★

◆◆<28>ピピナナ◆◆
頑固だな…。
俺の頑なな態度に、健はそれ以上の事を言うのを諦めた様子だった。
すまねえ、健。
おめえの気持ちは分かる。
だが、俺は心の中に踏み入られようとする度に、それ以上に殻を固く閉ざしてしまう癖がついちまった。
俺の一番柔らかいところを探られるようで恐いんだ。
★2017.09.24★

◆◆<29>真木野聖◆◆
まあ仕方がないな。
健が言った。
お前がそれ程頑なな男だって事は俺も良く知っていた事だ。
お前は俺が自分を見失っていた時に「自分の姿を見るようで嫌なんだ」と言ったろう?
だから心の奥底にそんな自分を否定する気持ちがあるのかと思っていた。
だがどうやら俺に入り込める隙はなさそうだ。
★2017.09.24★

◆◆<30>ピピナナ◆◆
辺りはすっかり暗くなっていた。
星の瞬きが、より一層際立ってきていた。
空を見上げると、一筋の流れ星が見えた。
今、願い事しただろ?
健が言った。
するかよ。
俺は笑って答えた。
本当は願い事したんだけどな。
何をしたかって?
それは秘密だぜ。
願い事は人に話したらいけねえんだ。
★2017.09.24★

◆◆<31>真木野聖◆◆
聞かないさ。
俺はそんなに野暮じゃない。
健が言った。
多分俺達は同じ事を願ったに違いねぇ。
処で腹が減ったな。
ジュンの店で腹拵えしようぜ。
俺は言った。
広大な景色を見て贅沢が出来た。
充実した1日を過ごせたな。
そして帰途に着く事にした。
星空が俺達を見守る様に瞬いていた。
★2017.09.24★







★今回のコラボの感想★
  (コラボ期間:2017.07.28〜09.24)

<ピピナナ>

〜感想記入欄〜


<真木野聖>

今回はピピナナさんが体調を崩された事もあり、長期戦となりました。
途中から健とジョーの心理劇となってしまいましたし、難しかったですね〜。
またピピナナさんには「やられたな〜」と言う感じです。
いつまで経っても追いつけない…。
ラストも強引に終わらせた感じで申し訳ありません。
もう、アイディアが枯渇してしまいました。(;^_^A









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