ピピナナ&真木野聖コラボレーション企画 第8弾

『Twitter DE コラボ Part5』
  〜ピピナナ&真木野聖 作〜

◆◆<1>ピピナナ◆◆
俺は今闘いの中にいる。
相手はなかなか手強い。
いろんな手を繰り出してみるが、するりとかわされてしまう。
相手も、俺を責め続ける。
何とかしなければ。
いけねえ。
考えている場合じゃねえな。
とにかく、この場を凌がなければ。
俺は一か八かの手に出てみた。
これでどうだ!!
★2017.10.29★

◆◆<2>真木野聖◆◆
相手はブラックバード、なかなかの精鋭揃いだ。
特命を受けての単独行動中で仲間は近くにいない。
当てに出来るのは自分の能力と体力、そして知恵だけだ。
俺は滅多に使わねぇ爆弾を使って自分の周囲に煙幕を張った。
その間に攻撃に出る戦法だ。
見事に羽根手裏剣を敵の喉に当てる事に成功した。
★2017.10.30★

◆◆<3>ピピナナ◆◆
俺は辛くもその場から逃れる事が出来た。
今、闘って時間を無駄にする訳にはいかなかった。
基地はもうすぐ爆破される。
カウントダウンが鳴り響いている中、俺は走った。
巻き込まれるのは御免だぜ。
しかし、一回目の爆破が起こった。
そこで、俺はハッと目が覚めた。
なんだ、夢だったのか。
★2017.11.02★

◆◆<4>真木野聖◆◆
ちぇっ!ヒヤヒヤさせやがってよ。
まあ、仕方がねぇ。
俺はTシャツを着込んだ。
朝飯でも作ろうかと思った時、ブレスレットが鳴った。
南部博士からの呼び出しだ。
こんな朝早くから事件かよ?
だが、呼出先は三日月珊瑚礁ではなく別荘だった。
俺だけを呼び出しているのなら護衛だろうが…。
★2017.11.05★

◆◆<5>ピピナナ◆◆
別荘に行ってみると、案の定「護衛」だと言われた。
だが南部博士の護衛ではないという。
ある女性の護衛をして欲しい…と博士は言った。
女だっ!?
俺は女は苦手なんだけどな。
一体誰だ。
どこかの富裕国の女王様か、大会社の社長令嬢か。
いやそうではない。
博士は言った。
★2017.11.15★

◆◆<6>真木野聖◆◆
博士によると経済界では有名な女傑だそうだ。
国際科学技術庁にも深く関わっており、資金を調達してくれる1人だと言う。
これがメリー博士だ、とスクリーンに映った髪を纏め上げてキリリと美しい50代の女性を指し示した南部博士が心配げに曇った表情を見せた。
ギャラクターに狙われているようだ。
★2017.11.22★

◆◆<7>ピピナナ◆◆
メリー博士の名前なら俺も聞いた事がある。
女だてらに経済界を牛耳っているドンだと。
50代だと言う事だが、写真で見るとなかなか若い。
30代と言ってもいいくらいだ。
ただ何だか冷たい感じがするのが気に掛かる。
ギャラクターは彼女の豊富な資金を狙っているのだろうか。
★2017.11.23★

◆◆<8>真木野聖◆◆
まさかカッチェの変装って事はねぇだろうな?
南部博士に接触する為に既にメリー博士を殺してすり替わっている可能性もある。
俺は疑り深い性格だ。
用心に越した事はねぇ。
ふと浮かんだその考えを俺は博士には告げなかった。
博士が朝食を用意してくれたので、それを急いで腹の中に入れ俺は出発した。
★2017.11.25★

◆◆<9>ピピナナ◆◆
メリー博士が指定した待ち合わせ場所は、ユートランド市の街中の雑踏だった。
向こうから接触があるから待つようにと南部博士から言われた。
どうやって俺が護衛だと分かるんだ?
顔写真でも渡しているんだろうか。
行き交う人々を眺めていると、突然騒ぎが起こった。
一体、何事だ!?
★2017.11.26★

◆◆<10>真木野聖◆◆
俺は騒ぎが起こった方向に振り返った。
すると驚いた事にメリー博士に拳銃を突き付けた男が街宣車の上に立っていた。
博士は怯えた様子でもなく、落ち着いているように見えた。
男はスーツ姿で短髪で、一見すると会社員のような印象を受けるが、一般人なのかギャラクターなのかはまだ区別が付かねぇ。
★2017.11.27★

◆◆<11>ピピナナ◆◆
俺はその男が一般人だと踏んだ。
ギャラクターなら、こんな街中でわざわざ騒ぎを起こす訳が分からねえ。
俺はとりあえず男の背後にそっと回った。
男を捻り上げるのは簡単だった。
俺は男から拳銃を取り上げると、博士の無事を確かめた。
博士は相変わらず涼しい顔をしていた。
★2017.11.28★

◆◆<12>真木野聖◆◆
俺は警官に男を引き渡した。
一緒に来てくれと言われたが、急いでいると断ると警官はメリー博士の方を一瞥してから男を引っ立てて行った。
流石に南部博士が寄こす護衛だけの事はあるわね。
頭上から女の声がした。
まだ車上にいるメリー博士だ。
まさか俺を試す為の芝居だったのでは?と俺は疑った。
★2017.11.29★

◆◆<13>ピピナナ◆◆
あなたがそうでしょう?
メリー博士は言った。
俺は頷いてみせた。
でもまだあなたを信用した訳じゃないから。
メリー博士はまた冷たい表情をした。
何がメリー博士をそうさせているのだろう。
俺の興味をそそった。
メリー博士の過去に何かあったのだろうか。
それとも元々の性格か?
★2017.12.03★

◆◆<14>真木野聖◆◆
まあ、今はそんな事を詮索していても仕方がねぇ。
これから何処に行くおつもりですか?と俺は訊ねた。
私の研究所よ、とメリー博士が答えた。
この街宣車でか!?
驚く俺に、カモフラージュよ、と答えが返って来た。
貴女を狙っているのはギャラクターか?
それもあるわね、でも…。
博士は言い淀んだ。
★2017.12.04★

◆◆<15>ピピナナ◆◆
まだ信用していないあなたに言う必要はないわね。
メリー博士はまた冷たい表情に戻った。
そんな事言われると、気になるじゃねえか。
ギャラクター以外にも博士を狙っているヤツがいるのか。
行くわよ。
博士の声にハッとした。
俺の任務は博士の護衛だ。
情報がねえと護衛のしようがねえな。
★2017.12.07★

◆◆<16>真木野聖◆◆
俺はとにかく四方八方に気を配りながら街宣車の運転を始めた。
助手席のメリー博士の指示通りに道を進んだ。
何が危険で何が安全なのか、全く解らねぇ状態だ。
こんな時こそ俺の五感が物を言う。
誰も助けはいねぇ。
それに極論を言えばこの博士だって敵なのかもしれねぇ。
疑り深く取り掛からねぇとな。
★2017.12.08★

◆◆<17>ピピナナ◆◆
博士の言う通りに進むと事務所のような所に着いた。
ここが研究所?
まさか、ここもカモフラージュよ。
博士は笑った。
笑顔は意外と人懐こい。
ここから更に車を乗り換えるという。
いざ出発しようとすると、事務所の中からひょいと顔を出す人物がいた。
誰だ、こいつ。
俺は身構えた。
★2017.12.12★

◆◆<18>真木野聖◆◆
そいつは良く見ると幼い頃の健の奴にそっくりだった。
俺と出逢った頃…8歳位か?
驚いた?私の子よ。
博士は辛そうに言った。
25年前に死んでしまったの。
精神が壊れる程に苦しんでいた私を救ってくれたのが南部博士だった。
このロボットを作ってくれたのよ。
所詮は偽物…でも私の大切な子よ。
★2017.12.12★

◆◆<19>ピピナナ◆◆
その子は精巧に出来ているが、やはりロボットだとわかった。
メリー博士は永遠に歳をとらない子と一緒に25年も暮らしているのか。
南部博士も酷な事をしたもんだぜ。
俺は暫くメリー親子を見ていたが、やがてある事に気付いた。
この子、ただのロボットじゃねえ。
そんな事があるのか。
★2017.12.21★

◆◆<20>真木野聖◆◆
こいつは人工知能を持ち、メリー博士の優秀な助手の役割をしているらしい。
だが、俺を見る目には突き刺さる物がある。
まさかとは思うが、この子は自分の創作者である南部博士を恨んでいるのでは?と感じた。
成長した自分の姿をメリー博士に見せられない事がこいつを苦しめているのかもしれねぇな。
★2017.12.21★

◆◆<21>ピピナナ◆◆
俺の任務は博士の護衛だ。
メリー博士親子の事はまた別の話だ。
このおじさん誰?
その子は言った。
お、おじさん!?俺の事か。
なんでえ、そっちの方が歳上のくせに。
こいつは8歳の少年を演じている。
そうする事で博士が喜ぶと思っている。
まぁいいか、俺の知った事じゃねえな。
★2017.12.21★

◆◆<22>真木野聖◆◆
俺はまだ18歳だ!
よっぽど言ってやりたかったがグッと堪えた。
とにかく研究所に急ぎましょう。
俺は冷静に戻り、そう言って博士が用意した車のドアに手を掛けた。
その時、車の影に怪しい黒影が潜んでいる事に気づいた。
俺は一瞬の内に移動してそいつの腕を手際良く後ろ手にして強く締め上げた。
★2017.12.21★

◆◆<23>ピピナナ◆◆
そいつの顔を見てみると、何と健だった。
いや、違う。
似ているが、健をあと10歳は歳とらせたような感じだった。
なんで健に似たヤツが、歳こそ違え二人もいるんだ?
そこで俺はハッとした。
この男はまさか…。
博士の子供が成長した姿!?
こいつもロボットか。
南部博士の顔が浮かんだ。
★2017.12.21★

◆◆<24>真木野聖◆◆
その男は健とは違いキツい眼をした奴だった。
こいつには人間らしい感情があるように思えた。
死んだ筈のメリー博士の子供が生き返ったかのような…。
どう言う事なのか俺には解らねぇ。
俺に敵愾心を抱いている事だけは確かのようだ。
同じ顔を持つ大小の男は博士を挟むように後部座席に落ち着いた。
★2017.12.22★

◆◆<25>ピピナナ◆◆
博士はと言えば、放心状態だった。
そりゃそうだ。
自分の死んだ筈の息子が成長したかのような男が現れたのだから。
それに当たり前かのように車に乗り込んできた意味もわからねえ。
おめえは誰だ。
俺は博士の気持ちを代弁して言った。
すると男は自分の素性を話し始めた。
そうだったのか。
★2017.12.26★

◆◆<26>真木野聖◆◆
博士とは初対面だったようだ。
男の独り語りによると自分はロボットとなった子の異母兄弟だと言う。
子供の頃から長らく入院していたので逢う事がなかったのだ。
精神を病んでいた。
入院中に父が死に、別れた母は行方不明。
それで研究所を訪ねた処だったと。
博士は俄かには信じられない様子だった。
★2017.12.26★

◆◆<27>ピピナナ◆◆
というより、少なからずショックを受けたようだった。
自分の愛した男に他に子供がいたとは…。
博士は呟いた。
確かに結婚はしていなかった。
いいパートナーという関係だった。
お互いに忙しくて、いつの間にか逢わなくなっていたのだが…。
何故、私に会いにきたの?
博士は男に訊いた。
★2017.12.26★

◆◆<28>真木野聖◆◆
その男に護衛させるのは危険そうな臭いがするからさ!
男は俺に憎しみに近い視線を向けてそう呟いた。
どう言う事だ!?
俺は運転席から降りて奴を後部座席から引き摺り出した。
貴様こそ怪しいじゃねぇか!
俺は試しにパンチを繰り出してみた。
男は反射的にそれを左手で受け止めた。
こいつ出来るぞ!
★2017.12.26★

◆◆<29>ピピナナ◆◆
へへ…。
男はうすら笑みを浮かべた。
そして言った。
俺の方が護衛には相応しいぜ。
何言ってやがる、マザコン野郎。
ちょっと待って!
8歳の頃の健の顔をした少年が叫んだ。
護衛なら僕の方が相応しい。
今までお母さんを守ってきたんだから。
へっ。
子供のおめえに何が出来る。
★2017.12.26★

◆◆<30>真木野聖◆◆
俺は数々の修羅場を潜り抜けて来た。
死に掛けた事すらあるぜ。
僕だって1度死んだんだ!
俺の言葉に子供の方が言い放った。
確かにそうだな…。
精神的に病んでいた男の方はギラついた眼で俺とロボット少年を見ている。
今更出て来て何なんだよ!
少年の方は異母兄に当たる男に向かって吐き捨てた。
★2017.12.26★

◆◆<31>ピピナナ◆◆
うるせえ!
誰が何と言おうが俺が一番相応しい!
母さんは俺のものだ!
男が怒鳴った。
こいつ、確かに気を病んでいる…。
何をしでかすか分からない。
そこで俺はハッとした。
南部博士から護衛を頼まれたのは、こいつからだったのか?
それなら俺でなくても良さそうなものだが…。
★2017.12.26★

◆◆<32>真木野聖◆◆
ジュンや甚平や竜では対応出来ないと踏んだのか。
健だと奴らとそっくり過ぎてややこしい事になり兼ねねぇ。
南部博士はそこまで考えていたのか?
俺の方が用心深いのもあるだろう。
最初から疑って掛かるからな。
性格を読んでいて俺を護衛に指定したのだ。
とにかくこいつらを諫めなくてはならねぇ。
★2017.12.26★

◆◆<33>ピピナナ◆◆
お母さんはどうしたいの?
どっちに守られたいの?
少年が言った。
博士は躊躇なく答えた。
もちろんあなたよ。
少年の顔に笑顔が溢れた。
それを見た男は逆上した。
こんなに俺が想ってるのに…!
いつの間にか男はナイフを握っていた。
博士向かって飛び掛かっていく。
あっ、危ねえ!
★2017.12.26★

◆◆<34>真木野聖◆◆
俺は咄嗟に行動していた。
眼にも見えないスピードでナイフを叩き落とし、後ろ首を手刀で軽く叩いた。
軽く、のつもりだったが一般人にはその程度で充分だ。
だが男は立ち上がった。
俺は羽根手裏剣で応戦した。
奴の右手に当てると悶え苦しんだ。
メリー博士はロボット少年を抱き締めてじっと見ていた。
★2017.12.26★

◆◆<35>ピピナナ◆◆
お母さん、僕を選んでくれてありがとう。
ロボット少年から一筋の涙が流れた。
奇跡が起きたのか?
男が何かを博士に向かって投げ付けた。
塩酸だった。
少年は博士を守ってそれをもろに受けてしまった。
みるみる内に少年の身体は溶けていった。
お母さん…。
少年は倒れながら言った。
★2017.12.26★

◆◆<36>真木野聖◆◆
ジョージ〜!
メリー博士が絶叫した。
俺の名前と同じだったのか。
何だか身に摘まされる。
俺の場合と立場は逆だが。
博士は俺が守るべきだった。
それが俺の役割だ。
なのに奴を阻止出来なかった事が悔しい。
俺は唇を噛み締めた。
塩酸を投げた男の左腕を踏み付ける。
何故か熱い物が込み上げて来た。
★2017.12.26★

◆◆<37>ピピナナ◆◆
大きくなれなくてごめんね、お母さん。
そう言うとジョージ少年の機能は完全に停止した。
それでもあなたを愛していたのよ。
博士は泣き崩れた。
俺は事の次第を南部博士に報告した。
南部博士はもう一体ジョージ少年を作ると約束した。
俺はメリー博士と少年が幸せに暮らす事を祈った。
★2017.12.26★







★今回のコラボの感想★
  (コラボ期間:2017.10.29〜2017.12.26)

<ピピナナ>

最後まで読んで頂きありがとうございました。

今回は途中から話がずれてしまいましたね〜。
大きな反省点です。
ジョーの話ではなくて、メリー博士親子の話になってしまいましたから。
あくまでもジョーが主役のストーリーですので、次のコラボでは気を付けなくてはいけないと思っています。
産みの苦しみはありましたが、今回も楽しんで書く事が出来ました。
しかし、真木野さんは続きを書くのが早い〜!
次回も真木野さんについて行くのがやっとだとは思いますが、頑張りたいですね〜。


<真木野聖>

今回は2人とも体調を崩したりして、展開が遅くなりました。
それに加えて、ジョーが任務を果たしていない!
大きな反省点となりました。
途中からどんどん話がずれてしまいましたね〜。
ちょっと自分的には「どうかな〜?」と言う内容になってしまいましたが、コラボってこう言う面白さがあるんだ、と開き直っています。(笑)
今回も、と言うかずっと続いているのですけど、全てのツイートが140文字ピッタリになっています。
変な拘りですね。(;^_^A
次は恐らく年明けからの開始になるかと思いますが(まだ解りませんけど…)、挽回したい処です。
それにしても流石はピピナナさん。
思いも寄らない展開を注ぎ込んで来られるので、私はついて行くのがやっとでした。
また次のコラボを頑張って行きたいと思います。
お読み下さった皆様、どうも有難うございました。










inserted by FC2 system