『2月22日』

「何だか今日はあちこちから声を掛けられて忙しい1日だったぜ…」
夕方大荷物を持って『スナックジュン』に現われたジョーはげっそりとしていた。
「あら、ジョー。まさか今日1日何も食べてないの?」
「ああ、そのまさかだ…。そんな暇が全く無かった…」
「何で?とにかく急いで何か作るよ。何がいい?」
甚平が訊いた。
「サンドウィッチでいい。すぐに喉を通るものにしてくれ」
疲れ果てた様子でジョーはカウンター席に座った。
既にその場所を陣取っている健と竜が不審そうな顔で彼を見迎えた。
「何だか知らんがよぅ。やたらに本が届いたと言ってISOに呼び出されるわ、サーキットに呼ばれるわ、訳が解んねぇ…」
ジョーは丁度結婚式の引き出物が入るようなサイズの手提げ袋をドサッと音を立てて床に置いた。
「何じゃい?こりゃ?」
竜が怪訝そうに訊いた。
「見ても構わねぇぜ…」
「どれどれ…」
健と竜が興味本位でそれらの本をパラパラと捲り始めた。
ジュンもカウンターから出て来てその輪に加わる。
「え?なになに?おいらも早く見たいよ…」
サンドウィッチを作っている甚平までもがそわそわとし始めた。
「凄い!ジョーが主人公の漫画やら小説やらイラストやらがわんさかと……」
健の頭はクエスチョンマークで一杯になっていた。
「これって、ドージンシって奴じゃないんかいのう?」
竜が呟くと、ジョーがげんなりとした声で、
「そのまさかだよ…」
と低く呻いた。
「2月22日記念って何だよ?訳が解んねぇよ!
 何でISOに送り付けるんだ?恥を掻いたじゃねぇか!」
「ジョー。お前がG-『2』号だからじゃないのか?
 それにISOに送られたのは、お前が住所不定なせいだ。仕方がないだろう?」
冷静なリーダー様が分析した結果はそれだった。
「そうね。それしかないわね」
「ジョーの兄貴、やっぱりモテるんだね~」
「羨ましいぞいっ!」
ジョーは頭を抱え込んだ。
「お前ら、絶対に何か間違ってる!」




inserted by FC2 system