『肺をも破る衝撃波』

敵兵に四方を囲まれ、追い詰められた科学忍者隊は5人が背中を合わせて集合した。
その時ジョーは後方へとよろめき、健の背中へ寄り掛かる格好となってしまった。
「ジョー、どうした?」
健は敵に聞き取られないように小声で訊く。
「何でもねぇ。気にす……」
ジョーが答えようとした時、彼の喉から『グッ』と言う音がして、何かが吐き出された。
それは決して大量ではないが、血だった。
「ジョー!まさか、さっき私と甚平を助けてくれた時に右胸に受けた衝撃波で…」
ジュンがジョーの身体を支えるように背中へと腕を回した。
「大丈夫だ…。健、此処を打破するのは竜巻ファイターしかねぇぜ」
「それは解っている。だがお前のその身体では無理がある」
「俺の不調に付け込まれる前に早くするんだっ!」
ジョーの言葉に全員が竜巻ファイターのフォーメーションへと入った。
「科学忍法竜巻ファイター!」
甚平の掛け声で竜巻ファイターの回転が始まった。
誰もが苦しむ技だったが、特に一番下となるジョーと竜には負担が大きかった。
それぞれの身長差・体重差を元にそのフォーメーションはベストとも言える配置だったが、膂力があるとは言っても、ジョーの力は竜にはとても及ばない。
その分彼が竜巻ファイターの機動力を強める役割を果たしていた。
何とかその場は打開して、敵基地の外へと脱出する事に成功したが、ジョーは竜巻から弾き出され、地面に背中から叩き付けられた。
「ぐふっ!」
その衝撃でまた口から血が溢れ出した。
血を吐くと慌てるのは周囲の人間だ。
決して大量の血を吐いてはいないのに、より多く吐いたと錯覚してしまうのが大抵のケースである。
「ジョー!」
健達の心配をよそに、ジョーは自力で起き上がった。
「ちょっと肺に傷が付いただけだろうぜ。心配するなって言っただろう?」
「走れるか?」
「おう」
「よし、ゴッドフェニックスに戻るぞ!バードミサイルでこの基地を爆破する!」
「ラジャー!」
ゴッドフェニックスに駆け戻り、トップドームまで跳躍したと言うのに、ジョーは息切れすらしていなかった。
「バードミサイルは俺にやらせろよ。一番効果的な場所を狙ってやる」
敵基地の中枢は先程見て来た。
どこを狙えば効果的なのかこの眼で確認済みだ。
健も止めはしなかった。
ジョーの様子を見ていて、要らぬ心配だったと気付いたからだ。

「肺の中の傷は自然に治癒するだろう。安静を心掛けていれば普通に生活してくれて構わない。
 但し、数日は胸が痛むだろうから鎮痛薬を処方しておこう」
南部は念の為にレントゲンまで撮ったが、ジョーの身体に太鼓判を押してくれた。
「ジョー。日頃から鍛えていなければ危なかったぞ…」
「良かったわ…。私達を助けたお陰でジョーに何かあったら、と……」
ジュンの瞳が潤んだ。
「馬鹿だな、泣く奴があるか。俺は生きてるんだぜ。この程度の事はお互い様じゃねぇか」
「ジョーの言う通りだ。諸君は互いに助け合いながら任務を遂行して行くのが使命なのだ。
 これからも力を合わせ助け合って頑張ってくれたまえ」
「しかし、バードスタイルでも此処まで肺を傷つけてしまう衝撃波をギャラクターは開発している。
 恐ろしい事だ…」
健が腕を組んだ。
「うむ。生身だったら、ジョーは恐らく死んでいただろう。
 私はバードスーツの強化を急がなければならない」
南部博士はそう言い置くと司令室を出て行った。




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