『露天風呂』

今回の任務がいくら温泉地だったからって、泊まって来てもいい、って博士、気風がいいのはいいんですが、みんなが一緒に露天風呂に入ろうって煩くて敵わないですよ。
俺は個人主義なんですから。
他人と一緒に風呂に入ろうなんて日本人の習慣は俺には合わねぇし、湯船に浸かる事も普段からしねぇから、逆上せて裸で倒れたりしたら眼も当てられないですよ。

おい、甚平！
ジュンが俺達と一緒に入る訳がねぇだろう？
一応女の子なんだぜ。
５人で露天風呂だなんて、何て事を言っていやがる。
ジュン、早く部屋へ帰（けえ）れ。
俺もこれで失礼するぜ。

竜、しつこいぞ。
俺は他人と一緒に風呂になんか入って裸の付き合いとか何とか言うのはごめんだぜ。
百歩譲って露天風呂は悪くねぇと思うが、１人で入るならいざ知らず、おめぇらとなんて冗談じゃねぇ。
部屋のシャワーで充分だ。
じゃあな。

何だよ、健まで煩ぇぞ！
男と男の付き合いだ？
そんなもん、風呂に一緒に入らなくたって出来るだろうが？
南部博士も罪だぜ。
俺にはそんな習慣も趣味もねぇ。
シャワーを浴びる時ぐれぇ、１人にしてくれ！
男の裸なんか見てどうすんだよ！
特に竜のなんか見たくもねぇぜ。
いや、健や甚平だってそうだけどよ……。
それに人に自分の身体をジロジロと見られるのが一番嫌なんだよ！
タオルを巻いてりゃいいってもんじゃねぇんだ。
解ったか！？
解ったらその手を離せ！
離さねぇと、鉄拳が飛ぶぜ。
えっ？平和な温泉地でそれはないだろ、って、だったら素直に俺を引き止めるのをやめればいい。
それだけの事だ。
３人で仲良しごっこでもしてろ。