『秘密基地建造を阻止せよ!(3)』

ドーム状になっている部屋で、ゴッドフェニックスに残った竜以外の4人が背中合わせになった。
「いつもの通りだが、この基地の中枢区域を爆破する。
 俺とジョーは単独で、ジュンと甚平は一緒に行動しろ。
 何かあったらすぐに連絡を取る事」
健の的確な指示が飛んだ。
「建造中の基地だから、カッツェが居るとは限らん。みんな焦らずに行動しろっ」
言うが早く健が走り出した。
ギャラクターの隊士がどこからともなく現われたが、ジョーが跳躍してエアガンの三日月のキットをお見舞いすると、10数人が一気に倒れた。
通路が3箇所ある。
それぞれの道に彼らは別れた。

ジョーが進んだ通路にも、敵兵はわんさかと現われた。
特殊マシンガンを装備している。
マントで防げば大概の弾丸は弾き飛ばしてしまうが、闘っている最中にそれを向けられたら、バードスーツを突き破ってしまう危険性があった。
ジョーはこのマシンガンは今までのギャラクターの装備とは違う事を見抜いた。
ブレスレットに向かって叫ぶ。
「みんな、ギャラクターが持っているマシンガンに注意しろ。
 いつもの装備より強力だぞ!」
『解った!』
『ラジャー!』
それぞれ戦闘中の様子だが、短い返事が返って来た。
ジョーはその間にも羽根手裏剣を放って、5人の手を突き破り、隙が出来た処でそれぞれに重いキックを浴びせた。
敵兵はぐうの音も出ずに、床に伸びた。
ジョーはその1人を足蹴にして、後方に押し下げてから、更に先に進んだ。
次から次へと深緑の戦闘服が現われる。
回転しながらマシンガンを長い足で蹴り飛ばし、戦力を失わせて行った。
妙に警戒が厳重だ。
ジョーは自分が『当たりくじ』を引いたのを確信した。
敵兵を黙らせながら、素早く先へと進んで行く。
手足だけではなく、肘や膝も使って肉弾戦を演じて行く。
彼だけを追って見ていると、まるで演舞でも見ているかのような、無駄のない美しい動きだった。
科学忍者隊の中で、メンバーを束ねる役割がある健に代わって斬り込み隊長的な役目を果たしているのは実はジョーなのだ。
その身体能力は並外れている。
効率良く敵を倒す方法を身につけているので、敵の動きを予測して動く。
1度に何人もの敵を俯瞰している能力がある。
従って1分間で倒せる敵の数はジョーが一番勝(まさ)っている。
同等の能力を持つ健だが、全員の闘い振りを把握する為にその役目をジョーに譲っているのだ。
尤も今日のように健が単独で動いている時は思いっきり暴れている事だろう。
ジョーは無言で敵を次から次へとなぎ倒し、前へと突き進んだ。
やがて大きな機械音が響いて来た。
(これはコンピュータが作動している音か?)
と思った処にまたあの激しい揺れが来た。
(これ以上地上にも海にも被害を広げて溜まるか?!)
瞬速で走るジョーの目線の先に重い鉄の扉が見えて来た。
(この部屋は何だ?)
油断なくエアガンを構え、唇には羽根手裏剣だ。
ジョーはドアの外から中の様子を窺う。
この部屋が機械音の発生源らしい。
ドアは横開きだった。
細く開けると様子が見えた。
まさに海底に向かって、穴を掘っている巨大な掘削機が眼に入った。
(こいつが群発地震の原因だな?)
「こちらG−2号。健、群発地震の原因となっている箇所を掴んだ。そっちはどうだ?」
『鉄獣メカの工場を発見した。これから潜入して爆弾を仕掛ける』
「ラジャー!こっちは任せておけ」
『ジョー、ジュンと甚平に連絡が取れない。気掛かりだ…』
「何だって?まさか捕虜にされたんじゃ?」
『そうかもしれない。俺達は任務を遂行したら、合流して2人を探そう』
「時間がねぇな。時限爆弾のタイマーセットをいつもより長くするか?」
『いや、それでは爆弾を発見されて取り除かれてしまうかもしれん。
 いつも通り5分だ。その間に何とかしよう』
冷静なリーダーである健は情勢を把握している。
「解ったぜ。こっちは爆弾を仕掛けるまでに少し手間取りそうだ。
 敵兵が多いんでな」
『こっちも同様だ。お互いに仕掛けが済んだら連絡しよう』
「ラジャー」
通信を終えて、ジョーはいよいよ室内に忍び込む事にした。
ジュンと甚平はどうなったのか?
気になる処だが、今は考えている場合ではない。
まずはこの部屋のコンピュータを破壊して、秘密基地の建造を阻止する事だ。
ジョーは気配を消し、ドアを開けて侵入した。

中はガランと広い部屋だった。
これからまだコンピュータや様々な機器が運び込まれるのだろう。
だが、既に中枢となるコンピュータが設置されており、そのコンピュータが更に海底を掘らせる大型ドリルを制御しているようだった。
部屋の中心部にその大型ドリルが大きな場所を占めていた。
ドリル自体を爆弾で破壊するには、相当量の爆薬が必要なようだった。
ジョーはエアガンに南部博士が特別に作った時限装置付きの特殊弾を2発装備していた。
1発はあの巨大なコンピュータに、そして、残りの1発はドリルに発砲してやろうと思った。
だが、さすがに群発地震の元凶となるドリルが動いている場所である。
揺れがかなりきつかった。
「ん?貴様何をしている?」
特殊弾を発射する前に案の定、敵の隊長に発見されてしまった。
「科学忍者隊だ!揺れに怯むな!敵は1人だ、捻り潰してやれ!」
隊長の指示にあの特殊なマシンガンを手にしたギャラクターの隊員達が続々と現われた。
しかし、ジョーは闘志を忘れる事は無かった。
よりその闘志を燃やして、彼らに襲い掛かった。
「おめえらの悪事は全てこの俺が水泡に帰してやる!」
ジョーは大きくジャンプすると長い足で回転しながら敵兵にキックを浴びせた。
それが新たな闘いの始まりの合図だった。
肉弾戦は彼の得意とする処。
余程卑怯な手を使われない限りは、やられる事はない。
気をつけなければならないのは敵兵が持っているマシンガンだけだ。
素早く側転しながらマシンガンの攻撃を煙に巻き、間を見て羽根手裏剣やエアガンで攻撃を仕掛けるのはいつもの彼の闘い方である。
安定感があるので、普段5人で闘う時も健は余りジョーには目配りをしていない程だった。
ジョーは1人でも大丈夫だ、と言う健の信頼は厚かった。
彼がしくじって怪我を負う時は、必ず誰か守る対象があった。

南部博士が作った特殊弾は目標物に当たると自動的に時限装置が働き、5分後に爆発するように出来ていた。
ジョーは数分間の内に敵兵を全て薙ぎ倒すと、腰のホルダーから特殊弾を取り出し、エアガンにセットした。
狙い違わず目標物に2発の弾丸を撃ち込む。
コンピュータとドリルからシューシューと煙が出て、特殊弾の時限装置が働き始めた
「健!俺の任務は完了だ!これで群発地震の原因は除去出来る筈だぜ。
 俺は元来た場所に戻り、G−2号機でジュンと甚平が行った通路を突っ走るぜ!」
広い通路ではなかったが、G−2号機の走るスペースぐらいは何とかなりそうだ。
それにジョーのカーアクションの腕前なら進路に困る事もあるまい。
『こちらも完了だ。俺は近道を探ってみる事にする!
 とにかく2人を救い出そう。まだ呼び掛けに応答がない』
健の答えが返って来た。
「バードスクランブルも出せないって事は、2人共気を失っていると言う事か?
 例のマシンガンにやられていないといいんだが……」
ジョーは呟くと超速で今来た通路を風のように走り抜けた。




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