『燃ゆるゴッドフェニックス(中編)』

科学忍者隊は速やかにメガロスティーシティーに向けて出動した。
まずは赤外線フィルターを使って、敵の連続写真とビデオを撮って来る事だ。
悔しいがこの方法しかない。
今は手出しをする事は出来なかった。
下手に街の上空でメカ鉄獣を爆発させでもしたら、街に放射能が降下してしまう。
ゴッドフェニックスは写真を撮影しただけで、一旦基地へと引き上げた。
赤外線フィルターでの偵察を分析した結果、敵のさそり型メカ鉄獣は、ミサイル攻撃に転ずる一瞬に放射能帯の一部が途切れる事が解った。
「となれば、そこでその瞬間を捉えて超バードミサイルをぶちこむ事は出来るな。
 打撃を与えておけば、火の鳥も1回で済むんじゃねえのか?
 ゴッドフェニックスは勿論、俺達への影響も少なくて済むぜ」
「そうだな。その方法で何としても打破する作戦を取ろう」
健もジョーに同意した。
「だが、超バードミサイルを撃つのはタイミング的にかなりの難関だぞ」
「そんな事ぁ、解り切っている。
 だがよ。火の鳥を3回も待ってくれる筈がねぇと言ったのはおめぇだぜ」
「確かにその通りだ。俺達だって1度の火の鳥で気を失ってしまう程だからな。
 それを続けて3度と言うのは余りにも無謀だ」
「それならやるしかねぇ。俺に任せろ」
此処は科学忍者隊随一の射撃の名手である、ジョーに任せるより手はない、と健もそれには頷いた。
メガロスティーシティーでは、一旦現われてすぐに消えた科学忍者隊に対して非難囂囂だった。
「科学忍者隊は逃げ出したのか?」
そんな批判が破壊された街中から響き渡った。
だが、彼らは街を守る為に断腸の思いでそうしたのだと言う事を、人々は知らない。

「放射能帯の一部が切れるのは一瞬の事だ。
 その瞬間を上手く掴んでその場所に超バードミサイルを撃ち込まねばならない。
 ジョーにはプレッシャーを掛ける事になるが、出来るかね?」
南部博士が憂いを見せた。
「やるしかないじゃないですか?
 火の鳥3回連続使用と言うのは、非現実的ですよ」
「それは解っている。だが超バードミサイルは2発しかないぞ」
「1発で成功して見せますよ。2発も撃っている暇はありません」
ジョーは強気だった。
「確かにその余裕はないだろう。
 1度狙って失敗をすれば、向こうも警戒して来るに違いないからな」
博士が腕を組んだ。
「しかし、やって貰わねばなるまい……」
「そう言う事です。このビデオを穴の空く程見てタイミングを計ってはおきますが、実際には、現場で現物を見ねぇ事には成功しないでしょう」
ジョーは冷静だった。
健も頷いた。
「そうだろうな。ビデオに映っているのとは違う動きをする可能性もある。
 俺達は奴等の周囲を1周しただけだからな」
「国連軍の偵察機からもデータの提供を求めている処だ。
 もう少し材料は集まるかもしれん」
「国連軍が無事に戻って来れば、ですけどね」
「ジョーったら!」
ジュンが窘めた。
「いや、現場から直接電送して貰うので、少しずつでもデータは集まる事だろう」
「博士、それって国連軍の犠牲を前提にして話をしているように聴こえますが…」
健が眉を顰めた。
「先方がそう言って寄越したのだ。
 それだけの覚悟をして、彼らも出撃しているのだよ」
「解りました。すみません、博士」
健は素直に謝罪した。
国連軍が生命賭けで送って来たデータを、科学忍者隊と南部博士は苦虫を噛み潰すような思いで、じっと見入った。
そして、ジョーはあるタイミングを掴んだ。
彼のスナイパーとしての勘が、本能的にそれを見い出したのだ。
他の者には、ジョーが指摘するまで解らなかった。
「ミサイルを発射する0.5秒前に放射能帯は消える。
 そして、発射し終えるまでの時間は全部で僅かに3秒。
 この間が決め手だぜ。
 超バードミサイルは出来るだけ至近距離から撃たなければならねぇ。
 でなければ、バードミサイルが飛んでいる間に、放射能帯が再びメカ鉄獣を覆ってしまう。
 竜、出来るか?」
「やるしかねぇじゃろうて」
竜は太い右腕を振り上げた。
「そこはおらに任せとけ」
竜もゴッドフェニックスの操縦に関しては自信あり気だ。
そこに今度はアールグレイシティーに例のさそり型メカ鉄獣が現われたと言う知らせが入った。
「科学忍者隊出動せよ!充分に気をつけるように!」
「ラジャー」
博士の指示で、全員が再び出動した。

「ジョーの兄貴の腕に掛かっているんだからね。
 火の鳥3回なんてごめんだよ」
甚平が情けなさそうに呟いた。
「馬鹿野郎。やるって言ったら俺はやるぜ。
 だがよ、1回は火の鳥を使わなければならねぇ。
 覚悟しておけ」
「わ、解ってるよ〜」
ジョーの一睨みが効いたのか、甚平は怯えてジュンに抱き付いた。
「甚平。男の子でしょ。しっかり覚悟を決めなさい」
ジュンが諭している。
「メカ鉄獣の前方2500mじゃ!」
竜が叫んだ。
「ようし!」
ジョーは勇躍、赤いボタンの前へと進み出た。
「竜、上手く攻撃を交わしながら近づけよ」
「解っとるわい!ジョーこそ、しっかり掴まっとれっ!」
確かに衝撃で跳ね飛ばされていては、超バードミサイルを撃つ機を失う事になる。
ジョーは竜の座席に掴まりながら、来たるべき衝撃に備えた。
「竜、あいつは尾の毒針部分からミサイルを出すんだ。
 後方に回り込め!」
健の指示が飛んだ。
「ラジャー!」
竜が操縦桿を引いた。
ゴッドフェニックスは敵の後方へと滑るように回り込んだ。
容赦ないミサイル攻撃がやって来た。
だが、敵は1発撃つ毎に放射能帯を一瞬解除しなければならない、と言う手間を掛けている。
その事はある意味致命的だった。
スクリーンに赤外線フィルターを出し、ジョーはそれに眼を凝らした。
敵の3発目のミサイルが発射された時に、ジョーは瞳をツーっと細くした。
そして、見事に的確な瞬間を捉え、放射能帯を越えて攻撃する事に成功した。
射撃の名手である彼にしかこなせない技術だった。
数センチ単位のミスも許されない仕事を、彼は見事にこなしたのだ。
ミサイル射出口のその部分だけ、放射能帯が復活しなくなった。
さそり型メカ鉄獣の中で、爆発が起きているのが目視出来た。
だが、それだけではまだ足りない。
「ジョー、やったな!」
健がジョーの肩を叩いた。
「あそこから火の鳥で突っ込もう!
 全員配置に付いて、ベルトを締めろ!」
「ラジャー」
ついに燃えるような火の鳥を使う場面が訪れた。
メカ鉄獣の周囲を取り巻く放射能帯を通り抜け、装甲の厚い敵のメカ鉄獣を破るには、この方法しかなかった。




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