『生きろ』

俺はギャラクターへの復讐心の為にしばしば独断専行に走ってしまう事が多いのは自覚していた。
単独行動に出た事も多々ある。
最期の瞬間もそうして迎えた。
自分の生き方には一点の曇りも無く、後悔もねぇ。
だが、仲間達には随分迷惑を掛けちまった、といつも内心で詫びていた。
最後に竜に言った言葉が俺の本心だ。
竜に向けたと言うよりは、仲間達全員への詫び言だった。
『素直に詫びる事がやっと出来たぜ』
俺は復讐心を糧にしなければ、生きる事が出来なかった。
俺の人生の後半は闘う為にあったと思っている。
だからこそ、自分の身体を苛め抜き、常に鍛錬し続けて来た。
お陰でバードスタイルを解かれた後も随分と働けたぜ。
自分を蝕む病気のせいで、奴らに捕らえられ、最後は無様な処を見せちまったかもしれねぇな。
でも、俺は最後まで諦めなかった。
ギャラクターを斃す為には、仲間達の力が必要だ。
俺1人で叩き潰してやるつもりで此処まで来たが、俺はこのクロスカラコルムが奴らの本部だとは知らなかったからな…。

ふと気付いたんだが、俺の人生、闘いばかりじゃなかったんだな…。
いい仲間と巡り会って、それなりの青春は送って来たのではないか、と今、最期の瞬間にそう思うぜ。
後悔など何もない、と言ったが、本当は1つだけある。
奴らに辛い思いをさせてしまった事だ。
俺1人居なくなったって奴らは大丈夫だ、と勝手に思い込んでいたが、最後に別れる時にそうではねぇって事に気付いた。
そして…俺にとっても奴らが掛け替えの無い仲間だったと言う事が改めて胸に突き刺さった。
そんな事は前から充分に解っていた筈だ。
生死を共にして来た仲間。
誰1人として失いたくはない。
しかし…。
俺はその思いを奴らにさせてしまう事になっちまったんだ。
だがよ。
病気で死ぬよりも、こうして闘いの中で死ぬ事を選んだ俺を、いつかみんな解ってくれる時が来ると信じてるぜ。
前を見ろ!決して振り向くな!
おめぇ達は、科学忍者隊だ。
俺を置いて行った事を後悔するな…。
誰も間違っちゃいねぇ。
これで良かったんだ。
何よりも俺がそう望んだ事なんだからな。
おめぇ達に、俺が出来なかった事を託した。
だから、もう思い残す事は何もねぇ。
仲間を信じている。
絶対に『やってくれる』と…。
俺は満足して死んで行くんだから、おめぇ達が苦しむ事はねぇんだ…。

生きろよ。
この闘いに勝ち抜いて、おめえ達は生き抜いてくれ。
俺の分までな。
平和を勝ち取って、きっと『普通の』幸せをその手に……。




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