リレー小説纏め◆『受難の夜』(完結)


◆◆<1>真木野聖◆◆
ジョーは夕刻になってふらりと『スナックジュン』を訪れた。
ドアを開けると賑やかな音楽が溢れ出た。
今日は客が多いようだ。
ゴーゴーを踊っている女性達が目に入った。
「また出直すとするか…」
と独り言を言って、出て行こうとした時にカウンターの中から甚平が、「ジョーの兄貴!折角来たのに帰っちゃうの?」と訊いた。
「今日みてぇな稼ぎ時には、しっかり稼いどけ。また来るぜ」
ジョーはあっさりと背中を向けて、右手を上げた。
「あら?ジョー。今日のレースはどうだったの?」
ドアから半身出掛かっていたジョーの背中をジュンの声が追い掛けた。

◆◆<2>minako◆◆
「へへへ、勿論タイトルは戴いたぜ」
「相変わらずさすがね。1人位なら入れるわよ。お祝いにコーヒーをご馳走するわ」
「有難ぇが、今日は遠慮しておく。こう賑やかなのは余り得意じゃねぇんでな」
「あらそう?」
「折角繁盛してるんだ。こんな時にスクランブルが入らねぇように精々祈っておけ」
ジョーが言い終わらない内に彼のブレスレットが鳴った。
ジュンも「おや?」と言う顔をしたが、鳴ったのはジョーのブレスレットだけだった。
「博士からの呼び出しだ。じゃあな」
ジョーはガレージへと走り去った。

◆◆<3>朝倉 淳 様◆◆
 店の横のガレージに停めてある青い車に乗り込むと、ジョーはエンジンキーを入れようとし・・・ふと手を止めた。
 博士がおれだけを呼び出すなんて・・・護衛か?
 いや、今日はレースだと知っているはずだ。なのに・・・。
「おっと」
 いつまでも考えているわけにはいかない。博士の呼び出しには速やかに従わなければ。
「チェッ、賞金で奴らに奢ってやろうかと思ったが」
 まあ、いい。
 これで新しいレーシンググラブを買おうかと、ジョーはキーを差し込みギアをひっぱたいた。
 青い車が飛び出した。

◆◆<4>ピピナナ 様◆◆
ほどなくしてG- 2号は南部博士の別荘に着いた。
いつものように玄関の車寄せに入ろうとして、おや?と思った。健のバイクがあるのだ。
不審に思いながらもG- 2号を停めると、ジョーは車体からひらりと降りた。
そのまま別荘の中に入り、南部博士の部屋へと急いだ。
ドアを開けて中に入ると、果たして健が立っていた。
「ジョーも南部博士に呼び出されたのか?」
健もジョーの姿を見て不審気だ。
そこへ南部博士が入って来た。
「やあ、二人とも済まないね。」
南部博士は軽く手を挙げて、にこやかに笑った。
その時、ジョー微かに嫌な予感がした。彼の予感はよく当たる。

◆◆<5>真木野聖◆◆
「さて、2人に来て貰ったのは他でもないんだが…」
南部博士が切り出した。
「18歳以上の者でなければ入れないパーティーがあるのだ。
 急で申し訳ないが、今夜礼服で参加して貰いたい」
「礼服なんて持っていませんよ」
健が不服そうな顔をした。
「君達のサイズで急遽用意した。
 そこでそれを着て、アンダーソン長官の公邸へ出向いて貰う。
 ベンツが迎えに来る。
 君達は客として行くのだから、運転をする必要はない」
ジョーは健と思わず顔を見合わせた。

◆◆<6>朝倉 淳 様◆◆
「18歳以上って・・なんか怪しくねえか?」
「長官の公邸での催しだ。そんなわけないだろ」
 そんなわけ、のそんなを聞いてみたいが。

◆◆<7>真木野聖◆◆
「博士。一体俺達の任務は何なのですか?」
健が直球で訊ねた。
「任務ではない。ISOの女性職員達が煩いだけだ」
「へっ?」
ジョーはつい間抜けな声を出してしまった。
「どう言う事です?博士」
「つまりは私の養子と言う事になっている君達に逢いたいと言う事なのだ」
「しかし、俺達は余り公の場に出ない方がいいんじゃないかと思うんですがね?」
「その通りだ…。だが長官にどうしてもと言われ、断り切れなくてな」
(やっぱり俺の嫌な予感が当たったぜ…)
ジョーは口には出さずに呟いた。
「博士。そんな危険を犯してまで、俺達が出席しなければならない本当の理由があるんじゃないですか?」
思わず勘繰るジョーであった。

◆◆<8>ピピナナ 様◆◆
「他に理由などない。今言った通りだ。」
南部博士はくるりと踵を返すとドアに向かいながら
「さあ、君たちも着替えたまえ。15分後に出発だ。」
そう言い残すと去って言ってしまった。

後に残された二人はまだ腑に落ちない。
「なんか匂うがな…。」
ジョーは納得がいかない。
「まあ、ちょっと気になるが行ってみるしかないさ。」
健はもう気持ちを切り替えている。
「しかし、礼服は…。」と健は辺りを見回した。が、なかった。
そこへドアをノックする音が聞こえた。
「健さん、ジョーさん。お久しぶり。」
見るとテレサ婆さん※が微笑みながら入って来るところだった。
手にはカバーをかけた礼服を持っていた。
「さあさあ、旦那様がご用意なさった礼服ですよ。」

◆◆<9>真木野聖◆◆
取り敢えず2人は用意された礼服に袖を通した。
黒のタキシードだ。
長身・痩躯の2人には良く似合っている。
さすがに2人のサイズを熟知している南部博士だけあって、ピッタリと身体にフィットした。
それぞれ少しずつデザインが違っている。
「健、このタキシードはジーンズの上から履いても大丈夫なサイズに計算されている。
 逆にじかに履いたらブカブカだぜ。やはり何かおかしい…」
「ああ…。何が起こるか解らない。心しておかないとな」
2人が着替えて別荘の玄関に出て来るとテレサ婆さんが待っていた。
「まあ!2人共見違えたわ。良くお似合いね…。
 さあ、もうベンツがお迎えに来ているわ」
「テレサ婆さん、ありがとよ」
ジョーが腰を屈めてその小さな背中を抱いた。
「じゃ、行って来るから」
2人は最大限の用心をしながらベンツに乗り込んだ。
着替える時ジョーはジーンズからこっそり羽根手裏剣を抜き出し、タキシードに仕込んでいた。

◆◆<10>ピピナナ 様◆◆
「こいつを使う事がなければいいけどな…。」
ジョーはそっと内ポケットに入れた羽手裏剣をタキシードの上から押さえた。
その様子をバックミラー越しに運転手が見ていた。何やら目がキラリと光った。
やがてベンツはアンダーソン長官の公邸へと到着した。
うやうやしくドアが開けられ、健とジョーはその場へ降り立った。
気付かれないようにそっと辺りを見回す。
何も異常はない。

◆◆<11>朝倉 淳 様◆◆
「とりあえず、異常はないようだな」
「おい、ジョー。そんな怖い顔していたらおれ達の方が怪しまれるぜ」
「うるせえ。この顔は生まれつきだ」
 案内に従い、2人は公邸の大広間へと通された。
「うっ!」
「な、なんだ、ここは」
 広間を見まわし2人は思わず絶句した。
 そこに集うのは女性・・女性・・またまた女性・・・。
「は、博士が言った事は本当だったのか・・」
「おい、これで18歳以上しか入れないパーティって、いったい─」

◆◆<12>真木野聖◆◆
「まさかとは思うが、こいつはお見合いパーティーか?」
ジョーが呟いた。
「じゃあ、何でジーンズの上からタキシードを着る必要があるんだ?」
健が訝しげに言った。
「でもよう。男はどこに行ったんだ?俺達だけって事はねぇよな?」
「もしや俺達見世物にされるのか?」
ジョーと健は顔を見合わせた。
ジョーは辺りを窺いながらこっそり逃げ出す算段を考え巡らせていた。

◆◆<13>ピピナナ 様◆◆
ジョーは健と目配せすると、そーっと後退りを始めた。健もそれに倣う。
そして後ろ手にドアのノブを回し、そのままの姿勢で半身だけ外に出た。
「どこへ行くんですか?」
ギョッとして振り向くと、先程の運転手が立っていた。
「そんな事もあろうかと南部博士から監視するように言われています。」
南部博士の手際の良さを恨む二人であった。
健とジョーは諦めて部屋の中に入った。
何度見ても中は女性、女性、女性…。どこかに男性はいないのか。
女性達の熱気に圧倒されながら、二人は辺りを見回した。
その拍子にジョーは一人の女性と肩がぶつかった。
「あっ、失礼。」
慌ててジョーはその女性に謝った。
「!」
その途端、ジョーは固まった。なんという大女たろう。自分と比べても同じ位の身長だ。
何故だか背中に悪寒が走る。隣を観ると健も青い顔をしている。
「あら、いいのよぅ。」
妙に低い声だ。よくよく見ると、鼻の下辺りがうっすらと青い。
「こ、こいつはもしかして…。」
「おう。そうみたいだな。」
健も同意した。
「男?!」

◆◆<14>真木野聖◆◆
「何でアンダーソン長官の公邸でのパーティーにこんな奴がいるんだよ!?
 警備の奴ら、ザルなんじゃねぇのか?」
ジョーが小声で健に向かって囁いた
「俺が知る訳がないだろう…。とにかく長官を探そう。
 何か事情が解るかもしれない」
2人は広い会場を見渡した。
ジョーがぶつかったオカマは消えていた。
「あいつ、ギャラクターじゃねぇだろうな?俺達には長官の護衛の任務が課せられていたのか?」
「だったらなぜ南部博士はそう俺達に言わないんだ」
「そんな事知るかよ?」
ジョーはイライラとしながら、油断のない眼を辺りに配っている。
豪華な装飾が施された大広間だ。
高そうなシャンデリアに高級なカーテン、カーペット。
まるでヨーロッパの貴族のようじゃないか?とジョーは思った。
見回してみて、少なくともあのオカマ以外は「まともな」女性達である事が解った。

◆◆<15>ピピナナ 様◆◆
「やあ、君たち今夜は済まないね。」
振り返るとアンダーソン長官と南部博士が立っていた。
「いや、それはいいんですが…。」
健が先程浮かんだ疑問を呑み込んで答えた。
「一体、何のパーティーなんです?」
ジョーは堪えきれずに訊いた。
するとアンダーソン長官も南部博士も人目を憚るように辺りを見回した。
「このパーティーは、さる大国のプリンス主催のパーティーだ。」
そして南部博士は近くで談笑している人物を小さく指差しながら言った。
「あちらの方がプリンスだ。」
「?!」
健とジョーは目を疑った。なんと先程のオカマではないか!
南部博士は更に小声で続けた。
「プリンスは女装癖があってね…。困った事に『女子会』を開きたいと言われたのだ。」
そのあとをアンダーソン長官が引き取って続けた。
「さすがに自国で開くのは憚れたので、国王の知人である私に協力を求めてこられたのですよ。」
健とジョーは開いた口が塞がらない。
「だが、さすがに大国のプリンスです。いつ何時ギャラクターに襲われるかわかりません。そこで南部博士に頼んで護衛をつける事にしたのです。」

◆◆<16>真木野聖◆◆
「全く博士も人が悪い…」
ジョーは長官と博士が居なければ「ケッ!」とでも言い出しそうな気持ちでいた。
「要するにあの『プリンス』のお守りをすればいいんですね」
ジョーは溜息混じりに博士に訊ねた。
「ジョー。『お守り』とは失礼だぞ」
健が慌てる。
「その通りだ。プリンスの近くに付かず離れずに居て欲しい」
「何故、ジュンではなく、俺達なんですか?」
健が訊ねた。
「プリンスが男性の護衛を望まれたからです」
アンダーソン長官が穏やかな声で説明した。
「あなた方ならプリンスもお喜びになられる筈。
 先程ぶつかったと言う君。あなたをプリンスがお気に召したようです」
「げっ!」
つい口から迸り出た言葉を必死に押し殺して、ジョーは口を噤んだ。
「わ…解りました。健、早速行こうぜ」
ジョーが健を引っ張った。

「長官、彼らならプリンスの護衛をやり遂げるでしょう。心配には及びません。
 念には念を入れましたが、恐らくはバードスタイルに変身する必要もないでしょう。
 彼らは生身でも十二分に強いのです」
「お手並み拝見と行きたい処ですが、何事もない事を祈りますよ」
アンダーソン長官が髭を撫でた。

◆◆<17>ピピナナ 様◆◆
健とジョーはそれとなくプリンスに近づいた。だが、プリンスは目敏く二人に気付いた。
「あらぁ、さっきの方ね。」
白く塗った顔をほころばせて近寄ってくる。よく見るとプリンスは体のラインにピッタリと沿ったシャンパンゴールドのドレスを着ている。男性にしては細い体つきだ。しかし、胸の膨らみの辺りはガバガバだ。
「おいおい、〇〇が見えそうだぜ。」
ジョーは思ったが、口には出さず無理に笑顔を作った。
「あなたの事、気になってたのよね。」
プリンスがまさにジョーの肩に手をかけようとした瞬間、いきなり大広間の照明が消えた。
「!」
健とジョーは身構えた。咄嗟にプリンスに手を伸ばす。が、その手は空しく空をきった。
「プリンス!」
「あれぇ!」
低い声が場内に響いた。すると、パッと辺りが明るくなった。非常照明が点いたのだ。
「ははは!プリンスは預かった!」
聞き慣れた甲高い声がした。
「カッツェ!」
見ると、大広間のシャンデリアの上にカッツェとブラックバード隊員がプリンスを捕らえていた。高い窓には他の隊員達が油断なく銃を構えている。
「くそう、カッツェの奴、何しやがる!」
ジョーは拳をぎゅっと握った。プリンスを人質にとられては迂闊に動けない。
すると、横に立つカッツェの赤い唇を見てプリンスがすっ頓狂な声をあげた。
「あらぁ!あなた、アタシのお仲間?」
一瞬、ジョーはずっこけそうになった。この非常事態に何を言っている。
「違う!」
カッツェは顔を真っ赤にして怒っている。

◆◆<18>真木野聖◆◆
「ブラックバードが居る。こっちは2人だ。不利だな…」
健が呟いた。
鋭い眼光でカッツェを睨みつけていたジョーが、急に気配を消してそのまま姿を消した。
健もそれに続く。
大広間の外に一旦出ると手早くタキシードを脱いだ。
「博士の読みが当たったな!」
2人は同時に「バードゴー!」と叫び、華麗に変身をした。
「ジョー、カッツェの後方の窓から突っ込むぞ!
 非常事態だ。公邸を多少破壊するのは仕方があるまい」
「おう!」
ジョーは言われるままに公邸の外に向かう健と共に走った。

2人が窓をブーツで突き破って大広間に飛び入ったのは、それから1分も経たない時だった。
その窓に立っていたギャラクター隊員が割れたガラスと共に悲鳴を上げて落ちて行った。
カッツェは不意を突かれた。
「ジョー、プリンスを!」
健に言われるよりも前にジョーは彼の横から姿を消していた。
本当はカッツェに喰らい付きたい処だったが、そこを耐えて任務を優先したのだ。
ジョーは秒速で走り、ブラックバードの隊員の喉元を狙って羽根手裏剣を飛ばした。
エアガンではプリンスを巻き込む恐れがあったが、羽根手裏剣ならば彼の手元が狂う事はない。
ブラックバードには羽根手裏剣を避ける余裕が無かった。
ジョーはシャンデリアから落下するプリンスをジャンプして受け止めた。
ブラックバードはドサッと音を立ててカーペットの上に落ちた。
眼を開いたプリンスがうっとりとジョーの顔を見上げていた事に彼は気付かなかった。
「博士!プリンスを頼みます!」
プリンスの身柄を南部博士に任せると、ジョーは自分を取り囲むブラックバードとギャラクター隊員と対峙した。
睨みを利かせ、唇には羽根手裏剣を右手にはエアガンを、いつでも放てるようにしていた。

その頃健はベルク・カッツェを取り押さえようとしていたが、ギャラクターの隊士の妨害に遭っていた。
カッツェはその間に相変わらずの逃げ足の速さを披露する。
健達が入って来たのとは別の窓を突き破ってあっと言う間に闇へと消えた。
健は深追いをするのを諦め、今はジョーに加担しなければ、と踵を返した。

◆◆<19>ピピナナ 様◆◆
健がジョーの元に来た時にはもう勝負はついていた。
「ジョー、大丈夫か?」
ジョーはエアガンをホルダーに直しながら、不敵な笑みを浮かべた。
「ふん。これくらいコンドルのジョー様には朝飯前さ。」
外の方からパトカーのサイレンの音が聞こえ始めた。非常照明が点いたと同時に警察に連絡がいったのだ。
「あっ!ジョー、行くぞ!」
健が言いながら走り出した。ジョーも後に続く。
二人はまたタキシードに着替えると、なに食わぬ顔をして大広間に戻った。
「危ないところだった。二人とも有難う。」
南部博士が近寄って来て、そっと耳打ちした。
「プリンスは?」
ジョーが尋ねた。南部博士に預けたままだったので、気になっていた。
「彼女…、失礼、彼なら大丈夫だ。アンダーソン長官と共に控え室にいる。」
「そうですか…。」
二人は安堵の溜め息を吐いた。これで今夜の任務は無事に果たされたわけだ。
「南部博士、大事をとってプリンスには早急にお帰り頂く事になりましたよ。」
アンダーソン長官が大広間にやって来て言った。
「既に準備を終えられて出発されるところだ。お見送りをお願いする。」
南部博士は健とジョーを伴って玄関へと行った。
玄関の車寄せに停められたベンツにはプリンスの付き人が何人も並んでいた。その中を一人の青年が通って行く。
長身の痩せた体に仕立てのいいスーツをパリッと着こなし、軽くウェーブのかかった金髪を綺麗に撫で付けている。
「あれが…。」
健が目を見張って呟いた。そう、プリンスだった。
「こりゃ、見違ったぜ…。」
ジョーも呟く。
プリンスは二人に気付くと、微笑みながら近づいてきて囁いた。
「あなた方ですね。私を助けてくれたのは…。」
プリンスには見抜かれていた。だがプリンスはそれ以上何も言わず軽く手を挙げると、くるりと踵を返してベンツへと乗り込んだ。


◆◆<20>真木野聖◆◆
こうしてジョーと健の受難の夜は終わった。
2人はフッと肩の力を抜き、南部が乗って来たベンツに乗り込んだ。
「博士、何だってプリンスがギャラクターに狙われたんですかね?」
ジョーが訊ねた。
「プリンスの某国は金銀財宝に恵まれた国として有名なのだ」
「はあ、そう言う事でしたか?ギャラクターは資金源としてプリンスを人質に国ごと手に入れようと企んだんですね」
健が得心が行ったように呟いた。
「今日は君達にお礼の意味を込めて飛びっきりのご馳走をしようと思う。
 丁度それに相応しい服装もしている事だしな…」
南部が運転士にスタートの指示を出した。

ジョーにとってはレースへの出場から始まり、忙しい1日となった。

<了>


※これにて<完結>とさせて戴きます。ご執筆戴いた皆様、どうもありがとうございました。
※『テレサ婆さん』は真木野聖のオリジナルキャラクターで、本編に登場する人物ではない事をお断りしておきます。





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